薬屋、シアトルに移住する

アメリカで薬剤師になるべく奮闘中の日本人薬剤師の日々を綴ります。アメリカで買える便利な市販薬のこととか、英語のこととか。

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アメリカで病院・薬局に行くとき知っておきたい3つのコツ

悪名高いアメリカの医療制度。

駐在や留学、旅行など、日本からいらっしゃる方には大きなハードルの一つだと思います。

なんせ複雑!高額!理不尽!不公平!無愛想!

 

・・・すみません言い過ぎました。

でもファーマシーテクニシャンとして働いている私、保険関係のめんどくさい問題を薬剤師から押し付けられ頼まれたりします。そんな私が言うので間違いないです。日本の医療制度に比べてもう本当にめんどくさいです。

 

ということで、薬局関係で知っておくとちょっとトクする情報、というか知らないと損する情報を挙げていきたいと思います。 

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医者に行くときに薬局選びもしておく

まず前提から。いざ医者に行きました、処方箋をもらいました、その後、日本のようにどこでも好きな薬局に行ける訳ではありません。

ちょうどドラッグストアに行く用事があるからそこで用意してもらおう~と薬局に立ち寄り、処方箋を差し出したところいやあなたの保険うちじゃ使えないから、とすげなく断られることも多々ありえます。

また、紙の処方箋は少なくほぼe-scribeと呼ばれるオンラインオーダーが直接薬局にとばされます。そのときにどこの薬局が良いか医師から聞かれるので、自分の保険が使える薬局をあらかじめ確認しておきましょう。保険会社に確認すれば簡単に分かるはず。

 

自分の来局目的をしっかりと把握、主張する

いざ薬局について、日本のように「こんにちは~こちら初めてのご利用ですね、処方箋と保険証お預かりします、おかけになってお待ちください~」なんて懇切丁寧な対応を期待してはだめ!

一般的な対応は、「Hi!今日は何しに来たの?!」です。これは単に接客態度が悪いわけではなく、医者からもらった処方箋の薬をもらう以外の選択肢があるため。たとえば日本の処方箋は期限が4日で切れるのですが、アメリカでは1年(制限のない薬の場合)有効で、医師がRefill(リフィル)と呼ばれる繰り返し使える回数をあらかじめ記載しておけば、1年間医師に会うことなく薬局に行くだけで同じ薬をもらい続けることができるのです。このリフィルをオーダーしに来る人や受け取りに来る人、薬剤師におすすめの市販薬を聞きに来る人、はたまたインフルエンザの予防注射を受けに来る人など医者帰り以外の人もいろいろ来るので、あなたが何の目的で薬局に来たのかをきちんと明確にしなければいけないのです。

※ちなみに医師に薬の説明を受けるとき、きちんと薬の名前を聞いておくのがおすすめ。スルファメトキサゾールトリメトプリムなどと言われてめげてはいけません。不安だったらメモにでも書いてもらうように。薬の名前も何の薬かも分からない、では何か問題があったときに薬剤師のやる気が出ない確認に時間がかかります。

 

予想外の会計のときは必ず支払う前に確認する

あとはCopay(コペイ?コーペイ?)と呼ばれる料金を支払って終了です。 ただ、この料金もまたくせもの。

Formulary(フォーミュラリ)と呼ばれる各々の保険が認めている薬一覧が存在し、そこに入っていない薬だとやつら保険会社は全く払ってくれないのです。日本でいう保険外診療と近いかもしれませんが、めちゃめちゃ厳しいバージョンです。たとえば医師がうっかりこのフォーミュラリに入っていない薬を処方すると、自己負担額が月$300、類似薬に切り替えると月$4になったりします。

これ、何も言わないとふつうにしれっと$300払わされたりしますからね!!!良識のあるテクニシャンだったらこれ$300だけど知ってる?この薬じゃなきゃいけない理由あるの?とか聞いてくれると思いますが、そこで良く分からずオーケーオーケーとか言ってるとほんとに払わされてそれっきりです。少しでもおかしいなと思ったら支払う前にまずは確認。向こうも保険問題は慣れてますから、めんどくせーなこいつとは思っても口に出さな思いません。

 

※文句を言ってお会計が変わった例

実際、私が目にヘルペスができ初めてアメリカの医者に行ったときのこと。とても感じの良いドクターで、診察はとんとんとすすみました。「抗ウイルス剤の飲み薬と、安くて効き目の良い軟膏出しとくから1日3回使ってねー」と言われ、指定の薬局へ手ぶらで歩いて行きました。保険証を出し待つこと10分、名前を呼ばれ薬剤師のカウンセリングを受け、いざお会計。

「合計$70です」

「え、予想より高いんだけど内訳教えてもらえます?」

「錠剤が$10で軟膏が$60ね」

「軟膏なんでそんな高いの、先生安くて良く効くって言ってたんだけど」

「これまだジェネリック(後発品)出てないやつだからねー、なんか他のジェネリックあるやつに変えてもらう?これ良く効くけどね」

「ぜひぜひ!変えてもらって!全然こだわりとかないし、そんな最新のやつじゃなくて良いから」

「オッケーじゃまた座って待ってて」

この結果軟膏が$7に変わり、合計$17となりました。

 

気になることはとりあえず言ってみる。分からないことは何度でも質問する。医療関係に限ることなく、アメリカ生活の基本をこのとき学びました。

ポイントはその場で質問することです。処方箋薬は市販薬と違って、一度患者の手に渡ったものは返品はできません。もし一度家に帰っておかしいんじゃないかと思い薬局に戻ったとしても、上記のような場合、医師や薬剤師に非がある訳ではないので返金・交換には応じてもらえないと思います。

大体どこの病院も薬局も無料の通訳のサービスがあるので、専門用語など不安だったら遠慮せずに頼みましょう。うちの薬局では電話を通じての通訳サービスがあり、スピーカーフォンにして通訳を介して会話します。なかったらなかったで、言ってみるのはタダですしね。

 

こんな複雑怪奇で出来れば使いたくないアメリカの病院・薬局ですが、実は日本より便利で安くてありがたい部分もあるんです。次回解説したいと思います。