薬屋、シアトルに移住する

アメリカで薬剤師になるべく奮闘中の日本人薬剤師の日々を綴ります。アメリカで買える便利な市販薬のこととか、英語のこととか。

MENU

アメリカで薬剤師になる! -コミカレ利用編-

どうも、海外に興味のある日本の医療従事者を応援したい!ぽんです。

先日お問い合わせフォームからアメリカで薬剤師として働きたいという方から連絡をいただいたのですが、携帯メールアドレスのため返信ができなかったのでこちらの記事で返信とさせていただきたいと思います。

f:id:kusuriya_us:20180122151907j:plain

さて、アメリカで薬剤師になるには、

  1. FPGECを受け、インターンシップを終了する
  2. アメリカのPharm.Dを卒業する

の2パターンあります。

パターン1は以前の記事を参照してください(加筆修正しました)

kusuriya-us.hatenablog.com

 

今回はパターン2のPharm.D入学への準備段階、コミカレの利用に焦点を当ててみたいと思います。

 

 

Pharm.Dとは

アメリカの薬学部のことです。ほとんどの場合4年制ですが、夏休みが数ヶ月あり、この夏休みを抜きにしてその分授業にし、短縮3年制にしたものもあります。Pharm.Dは日本でいう大学院(博士課程)に当たり、高校卒業後直接入学することはできません。Prerequisiteと呼ばれる必須科目の修了(通常3年程度)が最低条件ですが、4年制の大学を卒業してから入学する人が多いです。つまり一般的なアメリカ人が高校卒業後薬剤師になるまでにかかる平均的な年数は8年です。

 

必須科目Prerequisiteの取得

必須科目はどの薬学部を受験するかで少しずつ違ってきますが、コミュニティカレッジ(以下コミカレ)、もしくは4年制大学で取得できます。もし行きたい薬学部がもう決まっている場合は、そちらの大学のPrerequisite Infoを確認し、その科目を提供しているコミカレや4年制大学に行くと良いでしょう。海外で取得した単位も認めてもらえる場合もありますが、その場合でもEnglishやPublic speakingなど英語関係の単位はアメリカ内の学校で取り直す必要があります。

 

コミュニティカレッジと4年制大学

コミカレや4年制大学はどちらもUndergraduate Schoolと呼ばれます。コミカレは日本でいうと専門学校が近いでしょうか。いろいろな種類の専門学校が集まった総合専門学校のようなものです。学位としては、CertificateもしくはAssociate degree(AA)が取得できます。短期の留学生は好きな授業だけ選んで受けたりしますが、CertificateやDegreeが欲しい場合は指定された授業を受けます。通常は2年以内に修了します。

4年制大学は日本と同じで、Bachelor's degreeが取得できます。ただ学費が高いので、最初の教養科目2年をコミカレで取得し、その後単位をTransferして4年制大学に編入し上位科目や専門科目を取得するというパターンが多いです。必須科目さえ取得していれば後は何の授業をとっても薬学部入学には差支えないので、例えば心理学でDegreeを取得してその後薬学部に入学、なんてことも可能です。

 

コミカレ利用をおすすめする理由

授業料が安い

そもそもアメリカの大学のほとんどがInternational Studentに対して授業料をふっかけてきます。これはコミカレと4年制大学とどちらもですが、4年制の大学はさらに輪をかけて高額です。コミカレと4大、3倍くらい違います。

講師と近づきやすい

4年制大学と比べ、クラス単位が小さいので講師や他のクラスメイトと仲良くなりやすいです。うちの講師は2、3回目の授業でもうクラス全員の名前を覚えていました。

良い成績をとりやすい

GPAと呼ばれる成績が後程大学や大学院への編入に重要になってくるのですが、コミカレは大体の場合学位を持っていない人が通っています。つまり、大学レベルの高度な教育は受けてきていない人たちです。名門大学に行って恐ろしく頭の回転が速い生徒たちに囲まれるよりは良い成績をとりやすいと思います。講師はほとんど薬剤師ですのできちんと必要なことは学べますし。

ファーマシーテクニシャンという選択肢

金銭的な問題で、テクニシャンとして働きながら薬学部の入学準備やFPGEEの受験準備をしている人もたくさんいます。コミカレではテクニシャンとして必要な知識を1年でさくっと教えてくれまし、手っ取り早くコネも出来ますし、OPTという勤労可能なビザももらえますのでまず経験を積みたい場合には最適だと思います。

実際日本で薬学部を卒業していればテクニシャンになるのにコミカレに行く必要はないのですが、私はコミカレに行って経験を積んだことは結果的には良い判断だったと思っています。推薦状を書いてくれるコネも出来たし、薬学部入学の面談に向けて自信もついたし、あと在学中旦那に知り合ったことでビザの心配もなくなりましたしね。笑

 

コミカレの選び方

選び方としては、International Studentsを受け入れ慣れているところが良いと思います。職業訓練校などにもPharmacy Technicianのコースがあったりしますが、I-20やビザ、SSNの取得など留学生特有の問題があったときに詳しい学校スタッフがいた方が良いです。Webサイトで留学生の受け入れについてチェックしてみると良いでしょう。

あとは医療系のCertificateが充実しているところを選ぶと良いと思います。看護系や栄養系、放射線など他の医療系の人たちと一緒に授業を受けて話が出来るのはすごく面白いです。

ちなみに私は西海岸の方がのんびりしていて良さそう、あ、ここの学校Pharmacy Technicianのコースある、というシンプルな理由で決めました。あんまり考えてなかった。笑

 

日本でできるコミカレ留学の準備

英語の勉強

具体的にはTOEFLの勉強です。英語そのものだけでなく、何かのトピックに対して自分の意見をさっと言えるように練習しておくと授業が始まってから役立ちます。私はグループディスカッションで言いたいことがあるのに言えなかったのが一番つらかったので。読む・書く・話す・聞く、まんべんなく必要です。ちなみにコミカレの入学は全く難しくありません。TOEFLの点数さえあれば大体どこでも入学できます。

経験を積む

プロフェッショナルとしての経験は無にはなりません。私は病院薬剤師時代に注射剤の調製や製剤もさんざんやっていたので、注射剤の授業では褒められまくりでしたし、日本ではこれどうなの?といろいろ話しかけてもらえるきっかけにもなりました。まだ在学中であれば、薬局や病院でインターンシップなどの経験をしていくのも良いと思います。

コネをつくる

アメリカは意外とコネ社会です。日本にいるうちにアメリカの薬学部での経験がある人や詳しい人を紹介してもらうと良いと思います。在学中であれば教授と仲良くなっておきましょう。後々紹介状など必要になってくることもありますし、海外にも顔の利く教授と仲良くなれると良いです。ちなみに日本の大学の成績はそこまで気にしなくても大丈夫だと思います。私も正直良くなかったですし、日本からアメリカの単位に換算される段階でちょっと上がったりします。笑

 

 

渡米前、アメリカの薬学部関連の情報があまり見つけられなくて苦労したので、少しでも助けになれば幸いです。もし質問などあれば遠慮なくどうぞ~!