薬屋、シアトルに移住する

アメリカで薬剤師になるべく奮闘中の日本人薬剤師の日々を綴ります。アメリカで買える便利な市販薬のこととか、英語のこととか。

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意識高い系?薬に詳しいアメリカ人

薬局で働いていると毎日薬の話を患者さんとする訳ですが、日本で働いていた時とだいぶ違うなーと思うのが患者さんの知識量。

 

血圧の薬、心臓の薬などというカテゴリではなく、薬品の名前がちゃんと言える人が圧倒的に多いです。発音は間違っていても、スペリングはきちんと言えたり、ジェネリック名とブランド名どちらも覚えている人も少なくありません。

 

一方日本では血圧のための白くて丸い薬、心臓のための貼り薬、などと薬品名以外から推察しなければいけなかった記憶があります。

 

これ、別に日本人が薬に興味ないとかアホだとか笑、そういうわけではないんですよ。なぜアメリカ人は薬に関して意識が高いのか、考察してみました。

 

 

 

 

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自己責任の国アメリカ

情報収集も自分の責任、不親切?な医療制度

薬はお医者さんや薬剤師さんが管理するものではありません、自分の責任で管理します。しかし日本だとプロに任せた方が安心、お医者さんの言われた通りにすべてやろう、という方が多い気がします。

アメリカでは保険を変えると薬の値段も変わってきます。例えば昔は$30だった薬が、新しい保険では$300になったりします。同じものを使い続けるか、類似薬に変えるか、処方は医師がしますが決めるのは患者本人です。薬剤師は類似薬との違いや値段のことを教えてはくれますが、薬剤師主導でどちらかに誘導することはありません。また、同じ薬お3ヶ月分いっぺんに注文すると保険のプランによってディスカウントがあったりもするのですが、そんな情報も聞かなければ誰も教えてくれません。情報が少なければその分損をしますので、必死になって情報収集をするのもうなずけます。

 

医療制度については記事参照↓

kusuriya-us.hatenablog.com

 

お薬手帳なんかも日本のサービスの代表的なものだと思います。黙っていてもお薬手帳に処方薬一覧をシールにして貼ってくれます。これ、災害や本人の意識のない時に持病がないか確認できる良い手段ですので、アメリカも取り入れれば良いのになーと思います。ただ、これがあるから自分で覚える必要はない、という方向に行ってしまうことがあるのも事実でしょう。

 

 

リフィルシステム

自分の薬は自分で管理する

一般的に、アメリカ人は医者に行く機会が日本人と比べて圧倒的に少ないのが事実。なぜならリフィルシステムのおかげで、医者に行かなくても薬をもらえるのです。

ただし、そのリフィルを薬がなくなる前に注文してとりに行くのは自分の責任。自分で間違った薬を注文してしまった場合も自分の責任です。

オートリフィルという自動でリフィルを用意してくれるシステムや、メールオーダーと呼ばれる家のポストまで届けてくれるシステムもあります。が、もう痛みはないから痛み止めは注文しなくて良いな、血圧の薬はあと1週間でなくなるからそろそろ注文しないと、といった管理は、薬の名前と効用が分かっていないと難しいでしょう。

まぁ、半年前に〇〇先生から処方されたなんかのクリームがまた欲しい、という注文をしてくる方ももちろんいらっしゃいますけどね。。笑

 

処方薬の広告許可

テレビで糖尿病薬や抗がん剤など広告が流れる

日本では処方箋薬の広告が薬事法で禁止されていますが、アメリカではその規制がありません。副作用の表示義務もあるのか、ものすごい勢いで副作用をまくしたてられますが、繰り返しCMで流れるので知らぬ間に知識も入ってくるのでしょう。

大体そのときにジェネリック名もブランド名も連呼されますので、リシノプリル・ハイドロクロロサイアザイドなどといった長ったらしい薬品名への抵抗も少ないのだと思います。

 

 

ものすごく詳しい服薬指導

情報過多?すべての情報を伝えなければいけない薬剤師

薬剤師が服薬指導をする際、専門用語を使わずいかに一般の方に分かりやすく説明するかがポイントです。プロスタグランジンの合成を阻害し痛みを抑えます、といった説明は普通はしません。と、私は日本で教わったのですが。。アメリカでの服薬指導(カウンセリング)はちょっと違います。何かあったときにその情報聞いていない、と言われては困るので、かなり深くまで説明します。

これはアムロジピンというカルシウムチャンネルブロッカーで、血管内皮のカルシウムチャネルに作動して血管拡張作用を引き起こします。と。日本で新人薬剤師さんがこうやって説明してたら止めに行きますけどね、ちょっとちょっとつって。

アメリカでこれで行われるのは、情報の渡し漏れで訴えられたら困るのと、上述の理由から患者さんにある程度の知識が期待できるので、’専門用語’のハードルが低いのだと思います。

 

ということで、アメリカ人が薬に詳しいのは必ずしもポジティブな理由から来ているわけではないかもしれません。が、すべてを医者まかせにせず自分で把握し、自分から積極的に参加していく姿勢は大事です。薬に関して知りたいことがあったら、どんどん薬剤師に聞いてみると良いと思います。薬剤師は割と勉強家で教えたがりの人が多いですから、利用してくださいね。