薬屋、シアトルに移住する

アメリカで薬剤師になるべく奮闘中の日本人薬剤師の日々を綴ります。アメリカで買える便利な市販薬のこととか、英語のこととか。

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アメリカで薬剤師になる! -FPGEC編-

こんばんは。今日は日本で薬剤師として働いているけど、アメリカで薬剤師として働いてみたい!と考えているあなたへ。海外卒の薬剤師がアメリカでの免許にトランスファーするための試験を紹介したいと思います。

 

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FPGECとは(Foreign Pharmacy Graduate Examination Committee)

その名の通り、海外卒の薬剤師がアメリカで薬剤師としてやっていけるかを判断する団体です。このFPGECが提供する、FPGEE(Foreign Pharmacy Graduate Equivalency Examination)という試験があります。このFPGEEにパスし、TOEFLで該当スコアを獲得後、インターンシップ特定時間修了することでアメリカの薬剤師試験(アメリカの薬学部卒業生が受けるのと同じ試験)の受験資格が得られます。

 

FPGEEの受験資格

ただしこのFPGEEという試験、日本人薬剤師なら誰でも受験資格がある訳ではないのです。残念ながら2018年現在31~36歳の4年制卒の日本人の場合、大学院を修了していない限りは受験資格は得られません。何故ならこの受験資格、5年以上のカリキュラムを修了していること、もしくは2003年以前に薬学部を卒業していることです。詳しくは公式サイト参照してください。

FPGEC | National Association of Boards of Pharmacy

公式サイトに一応受験資格は個々のケースに応じて判断する、との一文があるのです。私は諦めきれずに大学の4年制と6年制シラバスを比べたもの、6年生カリキュラム対応研修の修了記録、病院での勤務内容を一覧にして研修記録に見せかけたもの、研修薬剤師の記録などいろいろ書類を送ってアピールしてみたのですが、学位がないとだめとの一点張りでした。ただし大学院を卒業している場合は、それを6年制カリキュラムだと説得できるかもしれませんので試してみることをおすすめします。

FPGECの難点

TOEFLの必要点数が厳しい

2018年現在、TOEFL iBT必要点数はこちら。

  • Reading: 22
  • Listening: 21
  • Speaking: 26
  • Writing: 24

ここでネックになってくるのがスピーキング。TOEFL受験経験のある方は分かるかと思いますが、スピーキング26点というのはなかなかです。私が1年半の留学生活を終え、現地の薬局でインターンシップをし、通常の生活でコミュニケーションに困らないレベルでTOEFLの勉強もきちんとして、たしか22点でした。TOEFLのスピーキングは会話ではなく、短時間で自分の意見を整理して時間内にまとめて話すという独り言スタイルですので、日本人は特に苦手とする人が多いのではないでしょうか。スピーキング以外はきちんと勉強すれば問題ないかと思いますが、このスピーキングでつまづく方は日本人に限らず多いようです。今の職場に中国で薬剤師をしていたという似たような境遇のテクニシャンがいるのですが、彼女も米国で長く生活し英語に困る経験はまずないにも限らず、TOEFLのスピーキング点数になかなか届かないとぼやいていました。

ビザ問題

アメリカにコネも何もない場合は、インターン先とビザの確保に苦労するかもしれません。無給のインターンなので雇ってくれるという会社自体は見つかるかもしれませんが、インターンのためにビザのスポンサーをしてくれる会社はまずないかと思います。考えつくのは学生としてビザをとり渡米し、学校に行きつつ薬剤師試験の勉強もしながらインターン、という方法でしょうか。なかなか忙しそうですが、不可能ではないかも?

 

ただ以上の難点を差し置いても、インターンシップ以外は日本にいながらにしてできるし、一番お金と時間がかからなくてすむのはこのFPGECを利用する方法かと思います。

 

残念ながら受験資格に該当しない私のような人々は、PharmDと呼ばれるアメリカの薬学部に行く方法しかありません。ただ、学校によっては最初の数年間免除し編入できるパターンもあるようです。最短で3年、一からやり直すと6年間の学生生活が必要になってきます。これについても後日詳細を紹介しますね。

 

そんな何年も学生生活なんてできないけど、アメリカの医療業界に興味ある、体験してみたい!という方にはファーマシーテクニシャンを始めとするサーティフィケートをとって働いてみるのもおすすめです。

留学全般においてだけど、語学留学よりも大学で専門のクラスとる方がだんぜんおすすめです。その理由と、サーティフィケートの詳細については次回。